ろびちゃん旅にゆく
僕は旅に出ていた。
しろさんと、薫さんと。
薫さんのじぃじとばぁばのお家に行ったんだ。
とっても広くて、バルコニーもあったから僕はお家の中でもたくさん走ったり
バルコニーのお花にご挨拶したり。りんりん虫の声に耳を傾けてみたり。
夢みたいな毎日だった。
薫さんのじぃじとばぁばもとっても優しくて、温かかった。
僕の周りには優しくて温かい人しか存在しない。
これは僕の人徳だ。いや、犬徳か。
しろさんも、いつもよりもゴロンとしている時間が短くてニコニコして、ゲラゲラ楽しそうにしていた。
いつもよりお散歩にもたくさん連れて行ってくれたから、とっても楽しかった。
そうそう、海にも行ってきたんだ。
僕は砂浜を走ることが大好きだから薫さんが提案してくれたみたい。
去年、初めて行った砂浜で僕はぴょんぴょんぴょんぴょん、お馬さんのようにうさぎさんのように跳んだり跳ねたり走り回った。
だけど、海は嫌い。水は嫌い。濡れるのは嫌い。
とはいってもだ、分かっている。せっかく連れてきてくれたんだ。
今回は波に興味があるように、寄せては返す波に近づいたり、離れたり。
絶対に濡れないように、だけど二人を喜ばせるように。
そーっと波打ち際に近づいていたんだ。
満足しただろう?
しろさん、薫さん。
そんな二人を確認した僕は先頭に立って、海を後にしたんだ。
なにせ、秋だと言うのに暑かったんだから。白さんなんて白目向いていただろう。
僕は知ってる。
早く帰らせてあげないとね。
全く世話の焼けるしろさんだ。
あ、しろさんのじぃじとばぁばも僕に会いたがってるだろうから、そろそろ帰ってあげなくちゃ。
全く、みんな世話が焼ける。
これが、しあわせってことなのかな。